特別企画
□a cat & a dog
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高耶が一言言う度に女子がキャーと悲鳴のような奇声を上げる。
まだ何を言えばいいのか考えあぐねている高耶に、一人の女子が
「なんか、犬みたいだね」
「それだ!俺もなんかアイツ、犬っぽいっつーかペットみたいだなって思う時あってさ」
なんて言うと女子の奇声が益々大きくなってしまい、話どころではなくなるぐらい大騒ぎになってしまった。
以後、大学では「仰木くんは彼女を溺愛してる」などと言われるのは本人が知るよしもなかった。
「つーか、犬より狼に近い?いや、狂犬か…」
帰宅途中、ふと、高耶は思い直したのであった。
「ただいま帰りました。」
「おう、おかえり。」
夕食のイイ匂いをさせながら、高耶が機嫌よさそうにしているのを見て
「今日、なにか良いことでもあったんですか?」
橘義明こと直江信綱は、高耶特製の夕食にありつきながら尋ねる。
高耶の方もそれなりに自覚はしていたので、
「あぁ、ガッコでさ、直江の話題が出てさ」
実際、聞いて来た人々は彼女だと思って聞いていたのだが…
「やっぱ皆、お前の事犬っぽいってさ。皆思う事は一緒だな。」