おおきく振りかぶって

□さいたはな
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阿部とみょうじが付き合っていると知って1週間がたった



「おはようー、みょうじッ!!」


「おはよ、う。みょうじさ…ん」



みょうじとオレたち野球部はただの同級生から友達になった



『おはよう。田島くん、三橋くん』



でもオレは…



『…泉くんもおはよう』



「…あぁ」



まだ、みょうじを友達として


みることができなかった-










「なまえ、数学持ってるか?」



2限目が終わった、10分休みに阿部と水谷がやってきた



『んー、持ってるよ』



机の中から、数学の教科書を探すみょうじ


阿部は真っ直ぐみょうじのことをみていた


水谷は…


何故かオレの方をみていた


しかも、ニヤニヤしながら…



「なんだよ、水谷のヤツ」



意味もなく、水谷にムカついて


オレは睡眠をとるために机に伏せた…が










『はい、隆也』



「悪いな。このクソレが教科書忘れてたって言うから」



「阿部ッ、クソレって言うなよ!!」



『ふふっ。隆也も水谷くんも仲がいいんだね』



「後で返しにくるな」



「本当にありがとう、なまえちゃん!!」










嫌でも阿部たちの会話が耳に入ってしまう


しばらくして、阿部と水谷は7組に帰った



「…」



あー、ムカつく


自分にイラつく


いつまでもみょうじに対する恋心を捨てきれない、自分に…



「泉」



そんなオレに声をかけたのは…



「…なんだよ、浜田?」



浜田だった



「随分と機嫌が悪そうだな」



「…わかっているなら、話かけんなよ」



「泉、気持ちなんて…言葉にしないと届かないぞ。特に、恋愛は素直に気持ちを伝えたもん勝ちだぜ」



浜田の言葉はオレの胸に深く突き刺さる


オレだって…


そのくらい、わかっているつもりだ


阿部は素直に気持ちを伝えたから、みょうじと付き合っているんだろ?



「…ねぇよ」



「はっ?」



「阿部は関係ねぇよ。大切なのは、自分の気持ちを伝えることだよ」



浜田はオレの心を呼んだのかよ-


言葉を聞いて、オレはそう思った



「サンキュ、浜田」



オレが笑顔で言うと、浜田も笑った









そうだ、


大切なのは自分の気持ち-


浜田のお陰で、オレは大切なことに気がついた










(昼休み、みょうじに言ってみようかな…)



オレはそんなことを思いながら、次の授業の準備をした










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