novel

□旋律がもたらす微睡みの中で…
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依頼人の来る予定もない午後。窓から差し込む陽射しも優しい。そんな時…
「ネウロ…何してるの…?」
そこには何か蓄音機のような物を修理している魔人の姿が。
「うむ。これは魔界の蓄音機でな。依頼人も謎の気配も感じられぬから久し振りに魔界の音楽でも聞いてみようと思ってな…」
「魔界に音楽なんて存在するんだねー。」
そう言っている間にも修理は進む。
「よし。出来たぞ。」「本当?」
「ああ。」
魔界の音楽ってどんなのだろう…と想像を膨らませているとネウロが一枚のレコードを取り出してきた。
「それが、魔界の音楽が入っているレコード?」
「ああ、そうだ。」
「それって人間が聞いても大丈夫なんだよね…?」
そう問いかけると、
「さぁ…?」
といつもより艶のある黒い笑みを浮かべる魔人。
絶対何か恐ろしい副作用が…!!そう思い急いで事務所を抜け出そうと
「まぁ、座れ。」
ガシッと肩を掴まれ床に座らされる。
「ヒィイイイイ!!」「さて、それでは…」静かに針がレコードの上を滑り音楽が流れだす…。
もういいや。どうにでもなっちゃえ。と覚悟を決めテーブルに肘をつき音楽に聴きいる。もう逃げない事を確信したのかネウロもソファーに腰をおろす。
なんだ…。普通に綺麗じゃん。言葉…というより旋律が私の心に浸透してくる。しばらく聴いていると、気持ち良さからウトウトし始めてしまう。そうして私は意識を手離す…。

ぼんやりと目を覚ますと見える景色の角度が違う事に気付く。
あれ…?私、机にうつ伏せで寝てたはず…。しかも何故か頭の下が柔らかい…?見えるのは事務所の天井…だけでは無く秀麗な魔人の寝顔。もしかしてもしかすると…魔人の膝枕!?
気付いた瞬間に跳ね起き…られなかった。
魔人の大きな手で頭を押し戻される。
「なっ…!!」
「もう少し寝てろ。」少し不機嫌そうな魔人の声。
「我が輩も、もう少し眠る…」
眠るなら私が居ない方が寝やすいんじゃ…。そう思っていると、まるで心を読んだかのように魔人が言葉をつむぐ。
「膝に適度な重みがあった方が寝やすい。それに魔人に比べ人間は体温が高い。まぁ安眠枕のような物だ。喜べ主人の膝で寝られる上に安眠枕になれるのだ…。」
あ…安眠枕…。
そう言うと再び眠りにおちる魔人。
その穏やかな寝顔にいつもとのギャップを感じ思わずクスリと笑みをこぼしてしまう。
あぁ、叶うならいつまでもこの安らかな旋律の微睡みに沈んでいたい。そう思い再び瞼を閉じる。
もちろんこの素直じゃない魔人と共に…。
End
→反省会は次のページです。
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