捧げ物
□甘党物語
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バレンタインSS
「魔人の場合」
事務所に行くとテーブルの上に綺麗にラッピングされた箱が一つ。
今日はバレンタイン=この箱の中身はチョコレート=この中では誰も食べる人はいない=私のチョコレート…。
「いただきまーす!」早速ラッピングをほどいて一つを口の中へ。「美味しいー!!」
その時魔人がニヤリと笑ったのは気のせいではなかったはず…。
「ヤコ。」
「はい?」
「それは我が輩のチョコレートだ。」
一気に顔から血の気がひいた。
「あっあんた、チョコなんて食べないでしょ!?」
「理由はどうあれ貴様は我が輩の物を無断で食ったのだ。」
魔人の顔は神々しい程輝き且つ黒々しいものだった…。
「さあ、どうしてくれようか。」
予め用意していたのか魔人はトロイの中から紙を一枚取り出してきた。
「ヤコ。これにサインしろ。」
“奴隷契約書”
「私、桂木弥子はご主人様である脳噛ネウロ様の物を持ち前の意地汚さにより無断で食べました。その罪を奴隷となって償います…だぁー?!」
奴隷なんかに絶対なるもんか!
「ほう…。不服そうな顔だな。」
「当たり前でしょ!?誰が好き好んであんたの奴隷にならないといけないのよっ!」
「では我が輩のチョコレートを食った罪をどう償う?」
「うっ…!」
ああ、どうしよう。
奴隷になるしかないのかぁ〜!
「ふむ。ヤコ、一つだけ奴隷を回避する方法があるぞ?」
「えっ?!一応聞くけど何…?」
何故かいきなりソファーに押し倒されて魔人がのしかかってきた。「ヤコ…。」
耳元に熱い吐息。
「我が輩もたまには甘いものが食べたいのだがな…。」
「あ…甘い…?」
「そうだ。甘ーいものがな…。」
首筋にキス。
「それを我が輩に与える事が出来るなら奴隷契約は無しにしてやろう…。」
さあ、貴様の選ぶ道は…?
End