novel
□月の鎖が解けたから太陽の海で再び謳おう・・・。
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バキッと脚立の折れる音が派手に部屋に響く。
『弥子ちゃんっ危ない!!』
落ちる、と思い目をつむる。
しかし来るはずの痛みは来ず、かわりに力強い感触に抱えられていた。
「だから言ったろう。合わなくともよい災難にあうかもしれぬ、と。」
視線をあげれば呆れの色がうつる深緑。
「あ・・・ありがと・・・。」
「全く。人の親切な忠告を聞かないからそういうことになる。」
「もっと分かりやすく言ってよ・・・。というかその前に嫌がらせみたいに重い本を上に置くなあっ!!」
「主人に対する言葉づかいがなってない。」
くい、と顎をすくわれる。
「調教ついでに主人として奴隷の貴様をきれーにしてやろうか?」
「・・・・・/////!!」
ぺロリ、と唇を舐められる。
「ば・・・・っか言わないで!掃除の続きするんだからネウロも今度は手伝ってよ。」
先ほど落としそうになった本を男の胸に押しつける。
「ふん、まあよかろう・・・。さっさと終わらして貴様を掃除する時間を長くとるのも良い・・・ククク・・・。」
そう言ってひょい、と上の棚の本をとって差し出してくる。
「どうした?ヤコ。早く終わらすのだろう?」
此方を見る満面の笑み。
なるべくゆっくり掃除をしようとそっと心に決めてその本をとった。