捧げ物

□甘党物語
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バレンタインSS
「執事の場合」
ここは双星館の調理室。「よし!叶絵やりますか!」
「いいけど弥子…。何人分作る気…?」
「勿論ネウロの分と自分の分だよ!」
「自分の分8割って訳ね…。」

今日はバレンタイン。いつもお世話になってるネウロにお礼が出来る日でもある。
「それにしても大きいねーここの調理室。普通の学校位あるよ…」「感心してる場合じゃないよ、弥子。」
「叶絵こそ何人分作る気…?」

お菓子の本を見ながら叶絵と一緒に協力しながらなんとか作ることが出来た。

ネウロはどんな顔をしてくれるだろう?
ああ見えてネウロは甘いものが好きだ。これも最近分かったこと。
「じゃあ、早速渡してくるね!」

意気揚々とネウロのいる場所を目指す。
「ネウロー!来たよー!」

「ヤコか。」
「こ……これは…!」
流れるチョコレートの滝!!
「ど…どうしたの?これ…?」
「今日はバレンタインだろう?貴様の事だからチョコレートが食いたくなると思ってな。用意した。今年はチョコフォンデュにしてみた。果物は世界中から今が旬のものを用意してみたが。」


ま……負けた!!
「う……。」
「ヤコ?食べないのか?」
「うわぁーん!!」
思わず部屋を飛び出す
「ヤコ?!」
ネウロが凄い勢いで追ってくる。
そのまま部屋に直行してベッドに伏せる。
まさかネウロが用意してくれてるなんて…というかスケールが違いすぎるよ…。
ぐずぐずと涙をこぼしていると、ネウロが部屋に入ってくる。

「ヤコ…?どうした?泣いているのか?」

ふい、と顔を背けてしまう。
「ヤコ?チョコフォンデュが気に入らなかったのか?」
「そ…そうじゃないの…あの…。」
「どうした…?」

「これ…今日ネウロに作ったの…。」
「これは…。」

私はネウロに今日作ったものを渡した。
「わ、私…ネウロにお礼がしたくて…でもネウロの用意してくれたの見て全然…。ネウロがくれるものの方が大きくて…いっぱいいっぱいもらったのに返せてなくて…ごめんねぇ…。」

私のボロボロこぼれる涙を長い指がすくう。
「お嬢様。物の価値というのは大きさや値段で決まるものではありません。そこにある心です。いかに値段がいいものでもそこに気持ちが無ければ何の意味もありません。お嬢様の気持ち、確かに受け取りました。僕のような者には勿体無いものです。」
「本当…?」
「ええ。だからお嬢様も僕の気持ち受け取って貰えませんか…?」「うん…!」

何を作るにしても僕は貴方の為に作っているのですから貴方が食べてくれなければ意味はないのです…。
それが例えバレンタインでも…。

End
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