過去へのトビラ。

□夏休みの工作
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俺の家庭事情は他よりちょっと複雑。

少しだけだけど、複雑。

俺も時々こんがらがって分からなくなる時がある。



そう、最初は確かに父母と俺と、三人で暮らしてた。

ある日、父が死んだ。

その一年後、母は再婚を果たした。

その半年後、母は死んだ。

死ぬ直前に義父が離婚を申し出て出て行った。

母の姉夫婦に引き取られた。

母の親戚に、俺を引き取りたいという人が出てきた。

その人たちの所に引き取られた。

姉夫婦の、俺にとって二人目の義父が死んだ。

母の姉が同居する事になった。

俺にとって三人目の義母が死んだ。

三人目の義父は荒れた。

母の姉は出て行った。

若い女が一人、家に出入りするようになった。

三人目の義父がその女と再婚した。

俺が邪魔になったようで、母の姉に連絡を取り始めた、三人目の義父。

それが叶わず、俺に苛立ちをぶつける。

四人目の義母もそうだった。

いや、あいつらなんて俺の義父母なんかじゃないか。



ざっとこんなものか。ちょっと複雑だろ?

親の死因とか色々長くなるけど。
つまり俺は今現在三人目の義父と四人目の義母と一緒に暮らしてる。
あ、義父母じゃなかったわ。

まあ、最近は家に帰ってないんだけど。

さて。


「ありがとなー三日も。世話んなったわー。」

「別にいいぜー。空き部屋なら有り余ってっしな。また来いよ。にしてもお前も家出かー。」

「もって事はお前も?」

「前になー。一日ちょっとぐらいで帰還させらんたんだけど。」

「ちなみにどこ泊まったん?」

「リョウ達んとこ。見た目ボロいけど中身綺麗だったぜ。」

「ふーん。じゃ、次そっち行こうかなー。」

「そっか。断られたらまた来いよ。」

「ああ、サンキューマッド。大好きだぜー。」

「あーはいはいうるせぇな。」

レンタはリュックと通学カバンを背負い、マッドの家を出た。
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