過去へのトビラ。
□縛られる人
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球技大会間近。
六月の中頃、梅雨の時期。
転入生が来ることになった。
『珍しいな。この時期に。』
『チヅルが言わないであげて。』
『男の子らしーよー。』
『外国人らしーぜー。』
『二人は黙ろうか。』
「おーい、席つけぇー。」
定年間近の初老の担任が入ってきて、教室内は一旦黙る。
「えー、もう知っている者もいると思うが、転入生を紹介する。」
一瞬遅れて、ガラリとドアが開いた。
銀色に輝く髪。それと同じ色の瞳。それを左右のサイドで二つ縛りにしていた。
「じゃあ、自己紹介して。」
その生徒は大きく息を吸い込むと、
「HAY!!今日からお世話になりマース!!シフォン・ブラッディールといいマース!!よろしくデース!」
残念なほどベタな外国人だ!
というのが、クラス一致の感想。
「両親の仕事の都合で、日本に来マーシタ!」
「あい、みんな拍手ー。」
そして、今更全員気づく。
『…性別は?』
顔は、童顔だ。髪はツインテール。
ちなみに服は、黒の飛行士のような軍服のような服の半袖に、黒の半ズボン。それに首には青地に黒のチェックのマフラーを巻いている。
季節感仕事しろ。
そしてとても笑顔だ。
「ちなみに、シフォン君は男の子なので。悪しからず。」
「あしからずデース!」
男だった。
そしてHR終了。
「私、学級委員長のアリス。よろしくね。」
「oh!外人さんデースか?」
「違うわ。」
「なぁ、出身はどこ?アメリカ?」
「秘密デース!」
「部活は?入る?」
「入りたいデース!サッカー部、ありマースか?」
「あるわ。サッカー部なら、マッドよ。」
「何、サッカーできんの?」
「Yes!日本でも、色々な学校でサッカーしてマーシタ!」
「そりゃ楽しみだ。放課後、案内してやんよ。キャプテンにも言っておく。」
「ハイ!楽しみデース!」