夢見処〜シロガネ〜


□ポッキーの日なんだって
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いろんな所でセール中!

(ほのぼの/微甘/志村新八)











ポッキーの日なんだって
















彼女について簡潔に説明するなら、行事好き、ということだ。


「ねぇー新八。今日ってあれだよ、ポッキーの日だよ」

「え、だから何」

「食べたくなるよね? あ、ほらあそこの靴屋さんにも置いてる! 購入した方にもれなく一袋プレゼントだって! いいなぁ〜」

「一袋って何だよ、一箱くれよ!!」

「あ、お豆腐屋さんではもれなく一本プレゼントって!」

「一本に減ったァァァ!! つか豆腐屋にポッキーってめちゃめちゃ不釣り合いだから!!」

「これは美味しい話だねっ。新八、今日のそっちの夕飯お豆腐にしない?」

「何故にうちの夕飯が犠牲になんの!?」

「だってうちはカレーって決めたもん」

「何だあんたは! ジャイアンか!!」


つ……疲れる。否、疲れた。

突っ込みすぎて肩で息をしている僕の横で、彼女は目を輝かす。

何がそんなに楽しいんだろう。

ポッキーの日なんて別に何も起こりはしないのに。


「あ。ポッキーの日のくせにプリッツまでセールしてる! なんかズルいー」

「もー。そんなことより、早く行くよ」


お使いにそう時間はかけられない。

銀さんと神楽ちゃん、二人きりにするといつもケンカばっかなんだから。


「えーと、のりと豆板醤となめことオレガノとキウイと……って何だコレ!! あいつら一体何を生み出す気だ!!」

「さすが銀さんと神楽ちゃんっ。こんな買い物する人ってなかなかいないよね?」

「全くもう、ホントあの人達は意味分かんないよ」

「でも新八、楽しそうだね」

「まさか!」

「そんな照れなくても」

「照れてないよ! もうホント大変なんだって!」

「あははっ」


楽しそうに笑うと、彼女は自然な動作で僕の左手を取る。

突然のことに顔を赤くすれば、彼女は更に楽しそうに笑った。


「ちょっ、笑わないでよ! 僕がこういうの慣れてないの知ってるだろ!?」

「うん、知ってる。でも新八も私が慣れてないの知ってるよね?」


お互いさまだね――そう慰めてはくれるものの、繋がれた手はそのまま。

まぁ僕もこうしていたいと思うから、甘んじて受ける。


本当は知ってる。分かってる。

君が行事好きな理由。

人としての幸せを知らずに生きていた君が、こうして僕らと同じ時を過ごすようになって刻み始めた毎日を大切に思っているから。

例え一日たりとも、君にとって『同じ日』はなくて、毎日が何かしらの『特別な日』。


「よし、ポッキーの日は新八と6回目の手を繋いだ日ね」


ぎゅうっと強く握って上機嫌な彼女を見てると、こちらまでつられて口許を緩めてしまう。


「こんな、何とかの日っていろんな思い出が作れるからやっぱり好き!」

「……うん。知ってる」

「あはっ」


男を惑わす小悪魔みたいな顔してるのに憎めない君。

僕はこれからもそんな君を守って行きたいって思うんだ。


「んじゃ、夕飯はお豆腐にしてね? 済みませーん、お豆腐を一丁…」

「ああもう、ポッキーくらい僕が買ってあげるから!!」


たかだか一本の為だけにお豆腐を買うのはやめて下さい。




*End*







(ほら、ポッキー)
(わぁい! ありがとう、後でポッキーゲームしようね)
(…………え゙!?!)
(あは、楽しみにしてるっ)



買い物に出掛けたら、試食どうぞーってポッキーをもらったら浮かびました(笑
たまにこの二人が『何とかの日』に登場しそうです。
新ちゃんかわゆい(*´∀`*)
ちょっと新ちゃん書くのにハマりそうと思ったポッキーの日なのでした。

2010.11.11


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