Yuki's Love Story

□陽だまり、はちみつ、君の香り。
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こんなのはフェアじゃないと、頭では理解しているのに...。
夕月に嫌われても仕方のないことを俺は...。

それともどこかで、夕月なら許してくれるという根拠のない甘えがあったのかも知れない。

吐息が触れ合う距離で「あ...」と、小さく夕月が震えた。
ようやく自分の置かれた状況を理解したらしい。

「...あのっ、」

不安げに揺れる瞳、強張る体に今さら罪悪感が襲う。
とうに覚悟は決めたはずなのに。

「俺のこと、嫌い?」

「嫌いじゃないです...、でも...」

きっと夕月の脳裏にはルカが浮かんでいるのだろう...。
前世の記憶がなくても、二人の心は繋がっているから。
傍で二人が寄り添う姿を見る度、自分の入る余地はないのだと諦めていた。

それでも今、夕月はこの腕の中にいる。


「好きなんだ、夕月のことが...」


ゆっくりと唇を重ねていけば大きな瞳が見開かれ、弱い抵抗が為されるが九十九はそれらを封じ込めて口づけを深くしていく。

「んっ、...んぅ.......」と、漏れ聞こえる声は艶やかで、九十九は薄いシャツの裾から手を差し入れて、滑らかな素肌に指を這わす。

びくびくっと震える様子が可愛くて、撫で上げる手をそのままに舌を優しく吸い上げれば、夕月はくたりと力を失くしたかのように身を預けてきた。

そこで初めて唇を解放した九十九は、そっと夕月を支えながら落ち葉の上に横たえる。

「ごめん、平気?」

「...はぁはぁ、」

とろんと潤んだ瞳、上気した頬に紅く色づく唇、顎を伝う唾液...。

普段の無垢な夕月にはない色香に当てられて九十九の視界はクラクラと歪む。

地面に広がる褐色の落ち葉の上に咲く白い花のような夕月。

その甘い香りに囚われる。


(違う...)

きっと最初から囚われていたんだ。


甘く背徳な香りを持つ君に...。


そして――

この甘い蜜を口にしたら、二度と手放せないことも分かっていた...。



end.
2009.9.10@以前、メモに上げていた九十九→夕月です...。癒し系な二人も好きだけど、今回はつっくんに頑張ってもらいました(^^;)
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