Yuki's Love Story

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*狂愛
*ぬるい性的表現あり




――想いはやがて、暗い闇の底へと落ちていく。


愛してる、
愛してる、
愛してる、

こんなにも愛しているのに。


――届かないのはおかしいだろう?





四角い窓から見えるのは眩しいオレンジ色の夕焼け空。
それは、あの日見た光景とあまりにも似ているのに、綺麗だと感じる心は消え失せていた。
鮮やかなオレンジが映り込む夕月の大きな瞳は翳りを帯びて虚ろで。
そこにはただ虚無だけがあった。

来る日も来る日も、四角い窓から見える景色だけを眺めて過ごす。
それ以外に出来ることはなく、何より夕月にはこの部屋から出る術がなかった。
足に絡まる冷たく無機質な鈍色の鎖がジャラリと不快な音を立て、夕月の足首とベッドの脚を繋ぐ枷を思い出させる。


あの日、勉強を教わりに奏多の部屋を訪れていた夕月は、帰ろうとして唐突に身体を抱えられベッドに投げ出された。
驚く夕月を尻目に伸しかかってきた奏多の手には手錠が握られていて、あっさりと両手を繋がれてしまう。
無言のまま見下ろしてくる彼の眼は夕陽を受けてギラリと赤く光り、いつもと様子の違う雰囲気に夕月の喉がコクリと震えた。


それからの記憶は曖昧で、制服のシャツを引き裂かれ、身体のありとあらゆる箇所を唇や手で暴かれた。
泣きながら夕月は「どうして?」と何度も問いかけた。
けれども彼は答えることなく、ただひたすらに夕月を蹂躙していったのだった。
初めて身体を拓かれる痛みと恐怖と羞恥と、様々に移り変わってゆく感情に翻弄され心が麻痺していく。
僅かばかりの抵抗も意味を為さなかったが、夕月の身体を穿つ彼が時折見せる痛そうな表情に疑問を持った。


――奏多さんを哀しませているのは僕?

「...っ、奏、多さ、」
「!」

震える身体を叱咤して声を絞り出す。

「...泣か、ないで?」
「夕月っ...、夕月っ!」
「...っ」

慟哭のような声で名前を呼ばれた後、最奥を穿たれて熱い迸りを注がれた。
じわりと胎内を浸食してゆく熱に併せて心が千切れていくのを感じた。
頬に落ちたのは彼の涙だったのか、自分の涙だったのか...。





気づけば眠っていたようで、ベッドに一人きりだった。
奏多さんの気配もなく外出したのだろうかとぼんやり考える。
手首の拘束もなく夢だったのかな。と思い、起き上がるとシーツが捲れ、夥しい鬱血の後が残る胸元が目に入った。

「......っ!」

すべて悪い夢なら良かったのに。
泣きそうになるのをこらえて夕月はベッドから出ようとする。
身体は鉛のように重く心は震えて今にも涙が溢れ出しそうだった。

――ジャラリ。
ふいに聞こえた音と足首に触れた冷たい感触に視線を移すと、右足首に枷が嵌められベッドの脚に繋がれているのを知った。哀しい現実に夕月の瞳から涙が溢れて声を殺して泣いた。
泣いたとしても状況が変わるわけではないけれど、傷を負った心が悲鳴を上げていた。
奏多さんは僕のことが嫌いだったの?
あの優しい表情や言葉、今までの全てが偽りだったとしたら。僕は何を信じればいい?
ベッドに腰掛けたまま、俯いて泣いていると扉の開く音がした。

「夕月」
「...っ、奏多さん?...」

声に反応して顔を上げても涙の所為でぼやけてしまい、奏多さんの表情が見えなかった。
今、どんな顔で僕を見ているの?

「寝てなきゃダメじゃないか。君は熱があるんだよ」
「......熱?」
「そう、だから早くおやすみ」

そっと額に伸ばされた手は変わりなく優しいもので。
ああ、熱の所為で幻覚を見てしまっただけなんだ。きっとそうだ。
ベッドに横たわりシーツを掛けられ、奏多さんの手が優しく目蓋を撫でる。
悪夢を見ていた所為で疲れていたのか意識が遠退いていく。

その刹那、囁かれた奏多さんの声を拾い上げることは出来なかった。


「永遠に可愛がってあげるからね......僕だけの夕月――」



end.
2012.0706@何かいろいろごめんなさい;ラブラブ奏夕が好きなのにぃ〜

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