Yuki's Love Story

□甘やかな胸の痛み
1ページ/4ページ

*微ファンタジーな話w



空に星が瞬き出す宵の口。
昼間の暑さは幾分和らぎ、時折吹き抜ける風が涼しさを感じさせてくれる。

これから向かおうとしている神社からは賑やかな祭り囃子が聞こえてきて、夕月は胸をワクワクと踊らせる。

今日の祭りの為にと天白が用意した、白地に藍で染め抜かれた大振りな花模様があしらわれた浴衣を身につけ、揃いの下駄を鳴らして歩く夕月を隣で見つめるルカの瞳は柔らかで。
その視線に気づいた夕月も笑みを零す。

「お祭り、ルカも楽しもうね?」
「ああ。夕月と一緒なら、きっと楽しい」
「!...う、うん!」

嬉しい言葉に照れくさくなって顔を俯けると髪をくしゃりと撫でられる。
外が暗くて良かったと思う。
熱で火照った顔を見られずに済むから。
触れられるのは好きだし、優しい手も声もルカの全てが好きだ。
それなのに最近どういうわけか触れられる度に顔が熱くなり胸の鼓動が早くなる。
こんなことは初めてで、彌涼先生に一度、診てもらったほうがいいのかも知れないとぼんやりと考えた。

「ユキ?」

――ドキン!

心配するような優しい声音に一際、心臓が大きな音を立てた。
そこからドクドクと体中を巡る血液が熱を上げてゆく。
ぐっ、と胸元に手を当てて深呼吸をする。
そうしないとみっともなく声が震えていしまいそうで。

「なんでもないよ、なんでも...。それより早くお祭りに行こう」

微笑めていたかは自信がないけれどルカを安心させたくて努めて明るい声を出す。
鼓動はいまだ鳴り止まないけれど、けして苦しいわけじゃなく、ほんのりと幸せな気持ちに満たされる。
この不思議な感情をなんと呼べばいいのだろう。


20120822@テーマは恋する夕月たんww
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ