Yuki's Love Story
□悠久の時を経て...
1ページ/1ページ
「ユキ」
名前を呼ばれて振り返ると、そこには銀色の瞳の美しい青年が立っていた。
「ルカ...」
淡い月明かりの下、彼が静かに歩んでくるのを見つめる。
そうして傍らに並んだルカは、そっと僕の髪を慈しむように撫でてくれた。
「...眠れないのか?」
「ううん、月が見たくなって」
見上げた空は一面、漆黒の闇だけれども柔らかい月の光が輝き、そのまわりには無数の星々が瞬いていて不思議と落ち着いた。
「昔からこうして夜空を見たりするの、好きなんだ。すごく綺麗だし...」
「ああ、まるでユキみたいだな」
「えっ?」
「あの月の光はユキに似ている」
ルカの銀の瞳が月を見てから僕を映す。
――何故だろう、彼に見つめられると切なく心が揺らぐのは。
「僕にとっての月はルカだよ、ずっと見守っててくれてありがとう」
「俺が勝手にやっていたことだ、気にするな。それに、これからは傍に居て守ってやるから安心しろ」
「うん」
ルカの言葉には絶対的な何かがあって、僕に勇気をもたらしてくれる。
――大丈夫、明日からも頑張れる。
見上げた先のルカは柔らかく笑んでいて、そのことに無性に嬉しくなった。
――僕はもう独りじゃないね。
end.
2008.9.6@甘ーいのを目指したんですが微妙;