Yuki's Love Story
□PLEDGE
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鋭い銀の瞳が白み始めた地平線の空を射抜く。
中庭に面したバルコニーに出て、手すりに肘を付きながら黒髪の男は想いを馳せていた。
昨日、ようやく戻ってきた大切な人へと...。
自分を取り巻く環境の目まぐるしい変化の中にあっても、強い意志を持って戦うことを決断したユキ。
怖くないわけはないだろう...。
それでも彼は、自ら未来へと一歩を踏み出したのだ。
ならば、俺は傍で支えよう...。
この命ある限り、ユキを守り、戦い抜く。
――ユキの笑顔が曇ることのないように。
それだけが己の原動力の全て。
他には何も要らない。
望むのはユキの幸せのみ。
地平線が眩い光に輝き出した。
太陽が昇るのも時間の問題だ。
ふと、こちらへ近づいてくる優しい気配を感じ取る。
懐かしく、己の胸を焦がす唯一の...。
「ルカ?」
まだ、こちらがはっきり見えていないのか誰何する声がかかる。
声はやはり彼のもの。
そうしている間にも、光の洪水が地平線から零れ出して辺りを明るく照らし出す。
その眩い光の中、彼は姿を現した。
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