Yuki's Love Story

□堕ちてきた星
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暗闇だけが広がる何もない虚ろな世界で、ユキだけがただひとつの光だった。

それはまるで己の行くべき道を照らし、夜空に煌々とある月のような慈愛に満ちた優しく淡い光...。

ユキがいるからこそ生きていけたし、それだけが唯一の生を成す意味だった。


時折、彼女はその心を痛めて、それに比例するように光も弱りはしたが、また輝きを取り戻すのを知っていた。

いくら打ち拉がれようとも、それを乗り越える度に光は強くなる。

そんな強さと弱さを併せ持つ人間<ヒト>を、美しいと思えたのは彼女を間近で見ていた影響に他ならない。



「...ユキ」

灯りの点けられていない暗い部屋の窓に寄りかかり、漆黒の闇に輝く月を見上げて愛おしむように名を呼んだ。

彼女を失ってから、どれほどの刻を過ごしただろう。
それさえも定かではないが、自分にはユキだけが全てで。ユキの居ない世界など意味を成さなかった。

ただ再び、めぐり逢えることだけを信じて生きてきたのだ。

(いま、お前は何処にいる...)



きらりと流れ星が堕ちたのを、視界の端に捉える。
その瞬間、心の奥底から溢れる何かを感じた。
膨れ上がる熱い気持ちにルカはひとつの確信を持つ。


――この世界のどこかに、ユキが生まれ堕ちたと...。


理屈では表せないが、確かに今はっきりと感じたのだ。
待ち望んだ最愛の人の命の息吹を。

この腕に抱き寄せて、ユキの香りと温かさを感じたくて。

ルカは長年待ち望んだ再会に想いを馳せた。




堕ちた星は、いつか空へと上がり、世界を照らす月になるだろう。



end.
2009.7.19@ユキ(夕月)に向けられるルカの愛って重いな〜と...。それだけ一途なんですよね、ルカは。萌!

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