Yuki's Love Story
□空蝉 ―twinkle―
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*空蝉の続編ですが,読んでなくてもokです。
「ルカ?」
コンコン、と控えめに扉をノックして声をかけたが部屋の主は不在のようで返事がない。
夕食の後から姿が見えないということは、任務でも入ったのだろうか?
「ルカ、居ないの?」
念の為、もう一度ノックしてノブを回せば扉は簡単に開く。
だが、室内は真っ暗でカーテンから月明かりが仄かに漏れているだけだった。
夕月は少しだけ残念に思いながらも、握った片方の手をそっと開いて掌にあるものを確かめた。
淡いシルバーの輝きを放つクロスのペンダントは先日、学校帰りに寄ったアクセサリーショップで手に入れた材料で作られたもの。
ルカへの想いを込めたそれを、完成してすぐに渡したくて部屋を訪れたが入れ違いだったようだ。
(また明日、渡せばいいか)
夕月が部屋を出るため踵を返そうとしたところ、視界の端に黒い影が過る。
そちらに視線を移した夕月は、腰の辺りに何かがまとわりついてきたのを感じて身を竦ませた。
「...っ!?」