Yuki's Love Story
□空蝉 ―twinkle―
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「?..ああ、これはルカに渡そうと思ってたものなんだ」
「いいなぁマスター。ボクも欲しいなぁ〜キラキラ」
ペンダントに負けないくらいの輝く瞳で見つめるソドムの様子に、そういえば光る物が好きだとルカが言っていたのを思い出す。
(ソドムにも作ってあげれば良かったな...)
作っている間、ルカのことしか考えていなかった自分が恥ずかしい。
これ以上、依存してはいけないのに...。
キラリと光るペンダントを見つめていると、開け放たれたままの扉から渦中の人が姿を現した。
「ユキ、こんなところでどうした?」
「...ルカっ、おかえり」
「マスター!おかえりなさーい!あのねっ、ゆっきーが持ってるキラキラが欲しいの」
「キラキラ?」
「えっと、これのことです...」
夕月が差し出した手のひらにはシルバーの鎖に繋がれた、クロスのペンダントが光っていた。
それを欲しがるソドムと困っている様子の夕月。導き出される答えにルカは静かに命令を発した。
「ソドム、戻れ」
「え〜!?キラキラ...」
「ソドム」
「...はぁい」
素直にポンッと姿を消したソドムに夕月は眉尻を下げた。
「可哀想なことしてしまいましたね」
「気にするな。アイツの光り物好きは本能だ」
「でも、次はソドムにも作ってあげます」
「......ユキ」
「はい?」
ルカの大きな手がそっとペンダントを持つ夕月の手を掴んだ。
「これは夕月が作ったものなのか?」
「あっ、はい!あの...実はルカの為に作ったので、良かったら受け取ってほしいです」
「ありがとうユキ、大切にする」
ほんの少し微笑ったルカの表情に胸がドキドキと鳴り出し、熱くなる頬にひんやりとした長い指が添えられる。
「あ......っ、......」
間近に迫った銀の瞳をみとめた瞬間、唇に甘くやわらかな感触がした。
end.
2009.12.31@年内完結できた〜;