Aggregate Element

□序章
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そうして世界は動いていく、僕ひとりを置き去りにして―――。



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朝陽が昇る前の澄みきった空気が好きだった。
生物たちが目覚めようとする気配を肌で感じるのも心地いい。
だけど、なにより好きなのは隣に在る温もり...。

「夕月、朝が来る...」
「......うん」

寄り添うように座る彼の肩に頭を預ける。
別れを惜しむように、少しでも長く彼の温もりに触れていたかった。
だって、太陽が昇り始めたらサヨナラしなくちゃいけないから。

淋しい、離れたくない、なんて言葉を口にしたことはなかった。
けれど、心ではそれを望んでいた。
これ以上、依存してはいけないのに。

物思いに耽っていると間近に彼の香りがして、顔を上げると唇に落とされたのはサヨナラのキス。
それを甘受して目を閉じる。

次に目を開いたら彼は居なくなっていた。キスの余韻を残して...。
そうして僕は彼の名残に囁くのだ。


「またね。ルカ...」

サヨナラじゃなくて、また明日。

昇り出した太陽が束の間の夢を消し去っていった。



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20100907

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