*Story-E*

□gelousy?
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「はぁ?エウレカが怒ってる?」


「そうなんすよ…俺なんかしましたかね?」


広々としたホランドの部屋のソファでレントンは大きなため息を吐く。


「んなこと俺が知るか。」


パンツ一丁で雑誌を読みながら返すのは部屋の主。


「そんな冷たいこと〜」


ソファから身を乗り出してベッドに横たわるホランドにすがるようにレントンは嘆き声をあげた。


「冷たいもなんも知らねぇもんは知らねぇ!」


「うぅ…」


そりゃそうだけど…


納得しつつもレントンは思う。


彼女に直接聞ける勇気があるならまず相談になんか来ていない、と。


「ホランド〜」


「ったく…大方モーリスの言う通りトランプが弱い男が嫌いなんじゃねぇか?」


「えぇ!?」


「冗談だ、ばか」


「………」


「なんだ?」


「もう…いいです」


力なく立ち上がり、とぼとぼと部屋を後にするレントン。


そんなレントンの背中にホランドから声がかかる。


「おう、レントン」


「なんすか?」


「男ならいじいじしてんじゃねぇ。何があってもドンと構えてろ。」


それだけを告げると再び雑誌に視線を戻す。


「………うす」


呆れつつも、そのホランドらしい言葉にレントンは笑う。


「………はぁ」


「あら、レントン」


静かに部屋をでると、廊下には丁度タルホが居た。


おはよう、とまるで挨拶がわりと言わんばかりに髪をくしゃっと撫でる。


「うわっ…と。おはようございます。」


それを甘んじで受け入れつつレントンは返す。


「こんな朝早くにどうしたの?」


「いや…それが…」


エウレカが何故か怒ってる、とはなかなか言えず歯切れ悪くするレントンにタルホは首を傾げる。


「あんた達二人とも変よ?」


「え…二人とも?」


「うん。あんたとエウレカ」


「エウレカ、も」


変ってのは…怒ってる、ってことかな?


尚更悪い予感がよぎり、頭を振る。


「エウレカ…なんか怒ってる…みたいで」


「怒ってる?」


「はい。さっき会ったんですけど挨拶もなしに睨まれちゃって…」


「なにあんた…なんかしたの?」


一体何を想像しているのやら、タルホがじとっとした視線を向けてくる。


「な、何もしてませんよ!」


「ふーん?でもそうね…あれは怒ってるっていうより…」


「え?」


「……なんでもない。本当に気になるならエウレカに直接聞きなさい。」


それじゃあね、と後ろ手を振ってホランドの部屋に入って行くタルホ。


それを見届けて、レントンはため息を吐く。


「っていうより、なんなんだよ…」


肝心な所はぼかすタルホに内心文句をいいながらも歩き出す。


でも…


確かにこれは俺の問題だ。


俺がなんとかしなきゃ。
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