*Story-E*

□gelousy?
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「次レントン!」


「う…むむ…」


「早く〜」


「ちょっ、ちょっと待って!」


目前に広げられたトランプを前にレントンは悩む。


残るは2枚。


片方よりもつき出された明らかに怪しい方がジョーカーか…


もしくは裏をかいて…


「むむ…」


たかが遊びにも関わらずレントンは真剣に悩んでいた。


その彼の決断を今か今かと待ち受けるはニヤけたリンク。


「む、こっちだ!」


長考の末意を決して右側のつき出されたカードをひいた瞬間。


「ゲロんちょの負け〜!」


リンクの嬉々とした声が室内に響いた。


「うっ…くっそー!」


トランプを宙に投げ、レントンは転がる。


「やーい弱虫レントン!」


「ママは…トランプ弱い男なんて嫌いだと思うな。」


「レントンどべー!」


次々と襲いかかる言葉の刃に貫かれながらもレントンは起き上がる。


「こんなガキどもに…」


散らばったトランプを集めながらぼやいていると、子供達がもう一回と騒ぎだしていた。


「分かった分かった。まだやるから。」


だから落ち着け、と子供達に言い切る前にレントンはドアの辺りからの人の気配に気づく。


「あ、エウレカ。」


「ママ」


「ママ〜」


そこに居たのは大好きなエウレカ。


4人は4人とも顔を綻ばせて彼女を見る。


しかし当のエウレカはというと…


「…………」


一言も発することなくその場を後にする。


子供達もその後を追いかけるように部屋をでていった。


「え…エウレカ?」


しかし一人残されたレントンは焦っていた。


去っていく彼女の瞳がとても冷たかったから。


エウレカは…怒ってる?


怒らせるようなことをした覚えがないレントンはただ焦る。


「レントンの……バカ」


彼女の気持ちを知ることすらなしに。
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