仮想19世紀

□無自覚
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どうして、こんなに気になってしまうのかしら?

気がつくと、広くて大きな背中を目で追っている。
そのことを自覚したミランダは、答えがわからずに悩んでいた。

初めて会ったときから大きな人だな、とは思っていたし、体の大きさからは想像
できない繊細な優しさに驚きもした。
それだけだったはずなのに…

(なんで…私、こんなにマリさんのことばかり考えているのかしら?)

食事をしている時や修練の最中など、寝ても覚めても、とは、このことを言うの
ではないか、と思えるほど、マリのことばかりを考えていた。
そして、いまも…

「…ンダ。ミランダ?どうしたの?スープに何か入ってた?」

心配そうに見つめるリナリーにビクッとして派手な音をたててスプーンを落とし
てしまった。

「なななななんでもないのよ、リナリーちゃんっ」

焦るミランダの視線の先にはマリが静かに食事をしている。

「大丈夫なら、いいんだけど…最近のミランダってなんだか、元気ないから…」
「そ、そんなに元気ないかしら…心配かけてごめんなさい。ちょっとだけ、考え
事をしてて…」

そう答えながらも、また、ジッとマリの方に見入るミランダの姿にリナリーはも
しかして…という予感を覚えた。
マリはとても良い人だし、お似合いだとは思うけど…やっぱり、ミランダが恋をしているのだとしたら、応援したい気持ちとマリにミランダを取られたくない気持ちが半分ずつあって、さらにマリのことばかり考えてるミランダを見ちゃうと寂しさもきっと感じちゃうんだろうな…。

だから、恋をしていることに気付かないままで、もう少しだけいてほしいな、と
願うリナリーだった。
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