仮想19世紀

□優しい声に抱かれて
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(ね、眠いわ…なんでこんなに眠いのかしら?任務の間もちゃんと睡眠はとっていたはずなのに…)

ふらふらとした足取りでミランダは歩いていた。
さっきまで入浴していたから、そのせいで疲れたのだろうか?と思いもしたが、入浴にかけた時間はいつもと同じか少し長いくらいだから、いつもと変わりはない。
お酒を飲んだわけでも、変な薬を飲んだわけでも、ない。

(あぁ…本当に、なんでこんなに眠いの?い、今。ここで寝ちゃいたいくらい…。
ダメ。ダメよミランダ。しっかりしなさい!こんな所で寝たりしたら、また…迷惑かけちゃう…)

そう、己を叱咤しながらミランダを目的の部屋の前にようやく辿り着いた。
早いとは言えない時間ではあるが、深夜でもない。こんな時間に来訪してよいものかとノックをすべきか悩んで部屋の前を行ったり来たりしていると、部屋の主が扉を開けてミランダを迎えいれてくれた。

「遠慮などせずよいのに」

数時間前にミランダは任務から帰ってきたばかりで「ただいま」と「おかえり」の挨拶はしたけれど、お互いすれ違ってしまって、二人だけの時間が取れずに夜になってしまった。
せっかくマリに会うのだから、と入浴してきたのも遅くなってしまった原因の一つではあったけれど。

「ごめんなさい…あの、少しだけお話してもいいですか?」

「もちろんだとも」

(あぁ…マリさんの声ってなんて優しいのかしら。それにとっても安心できるわ…)
うっとりとマリの声に聞き惚れながら、ミランダはスルッと部屋の中に入った。
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