救われない物語

□本気のジャンケン勝負
1ページ/1ページ



空はスモッグか何かの影響で曇り、紫色。

地上はゴミで覆われ、転がっているのは干からびた死体とガラクタの山。

漂う異臭。












流星街は今日も平和です。



















流星街を生きる子どもたち、いや、もう十分に成長を遂げていることから青年たちと呼ぶべきだろう。

彼らは廃墟にいた。

寂れてボロボロだがこの廃墟のみが彼らの憩いの場だった。


1人の青年は鉄パイプを椅子代わりに古書を読みふけり、残りの男女入り乱れの集団は一心にジャンケンをしている。




これが最近の彼らの日常だった。

別に青年とジャンケンをしている集団が仲が悪いわけではない。


何度か青年も混ざったことがあるが正直飽きたのだ。



「毎日毎日、ジャンケンばかりして何が楽しいんだ?」

と聞いたが、

「別にいいだろ」「うん」「ジャンケン楽しいわ」「おう」「じゃ、クロロはやらなきゃいいね」「そーだな」「うんうん」

などと返された。


だから青年、クロロは1人古書を読みふけっているわけだ。










しかし、今日はそれだけでは終わらなかった。





クロロに彼らは緊張した面持ちでこう言った。




「俺たちで盗賊団作らないか?」
「欲しいモノ沢山あるね」
「欲しいモノは全部手に入るぜ!」
「…駄目かしら?」
「あたしたちならできると思う」






みんなしてクロロに向かってあーだこーだと話しかける。



クロロはそんな彼らの様子に聞こえないよう溜め息をついた。

いつかこんな日が来るとは思っていた。

彼らは漫画で幻影旅団として出てくるキャラであるから原作と同じように、彼らは、自分も含めてだが幻影旅団と名乗る盗賊団になるのが運命なのだ。


でも、こんないきなり
だとは思っていなかった。




…面倒だなぁ。




「「「で、クロロはどう思う?」」」


身を乗り出して聞く、もう何年も苦楽を共にした仲間たち。







オレとしては別に盗賊団になるのは別に構わない。

世界中の古書を得るには一番手っ取り早いしな。


「…ん。いいんじゃないか?みんな賛成ならオレに文句はない」


クロロの賛成意見に彼らは一気に表情を明るくした。


「だが、」


「誰がその盗賊団の頭になる?」


オレ、面倒事は嫌だからな!頭なんて御免だ!

そういう真意を込めた言葉だ。









クロロの言葉に彼らは待ってました、とばかりに頷いた。


「クロロは面倒事嫌いだもんな」
「俺も嫌だけどな」
「あたしもヤダ」
「それじゃあ、どうする?」
「みんな平等に決めればいいんじゃないかしら?」
「どうやって?」



顔を見合わす彼ら。

次の瞬間、バラバラだった彼らの言葉が一斉に揃う。



「「「ジャンケン!」」」



その言葉にクロロは全てを察した。


コイツ等、謀りやがった。

初めからジャンケンで決めるつもりだったのだ。

最近、ジャンケンばかりやってたのはこの日のためか!



気づいても時既に遅し。








「よし!やるか!」

彼らの1人。

フィンクスの言葉にみんなが同意する。






「出さなきゃ負けよ、最初はグー、ジャンケン、」




手が空中でグー、チョキ、パーと激しく変化していく。



クロロの動態視力を持ってしてもそれらは尋常な動きではなく、追いきれなかった。






「「「ホイ!」」」
















本気のジャンケン勝負
(勝ったのは勿論、)





配布元 空を飛ぶ5つの方法







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ