第3部 決戦!ゼルゼバス軍

□第50話 絆〜救いの手〜
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遂に、運命の時がやってきた。
数々の難敵を攻略し、ゼルゼバス軍も残すところ軍団長スイカ・ツェッペリン唯一人。
これまでの激闘を思い出しながら様々な思いを胸に先を急いでいた。
その覚悟は計り知れないだろう。
かつてない激闘が幕を開けようとしていた。
スルトファーマ「いよいよ、だな・・・。」
スティーク「待ってろよスイカ・ツェッペリン・・・今、決着を着けに行く!」
通路を渡り終え、見えてきたのは今までで最も大きな扉だった。
アール「みんな、覚悟はいいか・・・?」
その場の全員が黙って頷いた。
その扉に手を掛けたのは、リフェッドだった。
リフェッド「リネラス・・・待っていてくれ、必ず・・・君を生き返らせてみせる!」
重い扉がゆっくりと開き・・・。
その先に、その男は待ち受けていた。
スイカ・ツェッペリン「・・・待っていたぞ。」
ネッサ「スイカ・ツェッペリン・・・!」
スイカ・ツェッペリン「お前達、よくここまで来た・・・お前達の戦いは全て見させてもらった。」
アール「全く、よくあそこまで化け物を集められたもんだよな。」
スイカ・ツェッペリン「本当は誰も死なせないつもりだった。
我がゼルゼバス軍は勿論、お前達も・・・。
だが、結果として死者を生んでしまった。
・・・本当にすまなかった。」
アール「トーキル、アーチャー、ストレイカ、ソルネート、アクトミック、ジュラーネ、フェルドリート、ドゥワトシレファ、アワワ、そして・・・リネラス。
    本当に大勢死んだもんだよな・・・だが、お前は何も悪くないさ。」
リフェッド「・・・リネラスを、生き返らせてくれ。
      お前なら、できるだろ・・・?」
スイカ・ツェッペリン「・・・ああ、確かに・・・私なら可能だ。」
リフェッド「本当か!?」
スイカ・ツェッペリン「だが、その代償として・・・私はソディエルにより与えられたこのエネルギー支配の力を失う。」
リフェッド「何・・・?」
スイカ・ツェッペリン「だからリネラスを生き返らせるのは、この戦いが終わってからだ。」
アール「だがお前はそれでいいのか?その力が無ければお前は・・・。」
スイカ・ツェッペリン「確かに2度と戦えなくなる・・・だが、それで構わない。」
アール「・・・そうか。」
スイカ・ツェッペリン「では、早速始めるとしよう。」
そう言い、スイカ・ツェッペリンは手のひらに火球を集める。
スイカ・ツェッペリン「まずは小手調べだ、受け取れ!」
その手から発せられたのは灼熱の炎だった。
ドゥワトシレファのそれよりも遥かに上だと思われる。
ネッサ「バリアーブレード!」
しかし、その一撃は難なく受け止められる。
スイカ・ツェッペリン「・・・流石だな、伊達に激闘を耐えてきてはいないようだな。」
アール「遠慮せずに全力で来いよ、俺達はその全てを打ち砕いてやる。」
スイカ・ツェッペリン「いいだろう、ならば・・・。」
スイカ・ツェッペリンが天へと手を翳す。
その瞬間、頭上から氷の刃が雨のように降り注ぐ!
無差別かつ広範囲の攻撃は全員に対して向けられていた。
リフェッド「シフォンローゼ・・・守護風斬!!」
剣から風が発せられ、風に触れた範囲の氷が一掃される。
パルム「凄い・・・リフェッドのあんな技、初めて見る・・・。」
リフェッド「シフォンローゼの、声が聞こえる・・・みんなを護れと・・・!」
スイカ・ツェッペリン「なるほどな、戦いを経て成長しているようだ。」
ナック「闇、覚醒態・・・!行くぜ・・・ダークブラスト!!」
スイカ・ツェッペリン「甘いな・・・私は、お前達を上回るエネルギーを自ら創造することができる・・・こんな風にな!」
スイカ・ツェッペリンの手から光のレーザーが発せられる。
そのエネルギーはナックのそれを遥かに上回っていた。
ネッサ「サクリファイスセイバー!」
ネッサはスイカ・ツェッペリンが発した光のレーザーを剣で断ち切る!
よってそのままナックのダークブラストがスイカ・ツェッペリンへと向かう。
スイカ・ツェッペリンはワープによってかわす。
だが、すかさずスティークがワープした先へと移動する。
スティークはスイカ・ツェッペリンを斬り付けようと剣を振るが、そこにスイカ・ツェッペリンの姿は無い。
スイカ・ツェッペリン「読み通りだ。」
スイカ・ツェッペリンはスティークの背後へと移動し、スティークの背中に手を当てていた。
スイカ・ツェッペリン「爆ぜろ!」
スティークを爆炎が襲う。
だが、そこにスティークの姿は無い。
スティーク「読み通りなのは、こっちの方だ!」
スティークはスイカ・ツェッペリンの頭上にいた。
しかもスティークが握っているのは普段持っている剣ではない。
スイカ・ツェッペリン「ブラックレネゲイド、だと・・・!?」
覚醒状態のナックが闇の力を込め、スティークに渡したのだ。
スティーク「ダークネスノヴァ!!」
スイカ・ツェッペリン「この技は、レガルティスの・・・!!」
咄嗟にかわして直撃は避けたものの、闇の波動をその身に受けてしまう。
アール「やはりお前も俺と同じ魔術師タイプ、技の発動に時間が掛かるようだな。
    今の攻撃、防ぎきれなかっただろう?
    しかもお前の力は与えられたものだ、俺のように慣れ親しんだ力ではないから余計にそう感じる筈だ。」
スイカ・ツェッペリン「確かに、な・・・お前の言うとおりだ。
           流石は大魔法使いアール、中々の分析力だ。」
ザーペル「回復される前に畳み掛ける・・・トランス形態、ダイヤクリスタ・・・!!」
ザーペルは自慢の爪を突き立て、スイカ・ツェッペリンへと向かう。
スイカ・ツェッペリンはワープによってかわす。
スイカ・ツェッペリン「私が物理攻撃に弱いと思っているようだな、それは大きな間違いだ。」
ザーペル「そうか、なら・・・当たるまで何度でも攻撃してやるさ!フリーズピラー!!」
スイカ・ツェッペリンの真下から氷の柱が出現する。
スイカ・ツェッペリンはそれをワープでかわす。
だが、かわした先にはスティークが迫っていた。
スイカ・ツェッペリン「同じ手を・・・!」
スイカ・ツェッペリンはその攻撃を光の刃で受け止める。
だが、またしてもスティークの持っている剣が変化していた。
今度は・・・。
スイカ・ツェッペリン「ディメンションブレードだと!?」
光の刃は空間ごと斬り裂かれ、スイカ・ツェッペリンに一撃を加える!
スイカ・ツェッペリン「がはっ!アールめ・・・いつの間に・・・!」
アール「剣の譲渡っていう発想は無かった・・・ナックを見て初めて思い付いたよ。
    そうか、これが・・・仲間なんだな。
    ・・・仲間とはいつ見ても、いいものだ。
    なあスイカ・ツェッペリン、お前もそう思うだろう?」
スイカ・ツェッペリン「仲間、か・・・これが、お前達の言う・・・。」
ネッサ「そうだ、俺達には仲間がいるから、強くなれる・・・。
    仲間こそが、力の源なんだ・・・。」
スイカ・ツェッペリン「確かに、強い力だ・・・だが・・・。
           それで、世界が変わるものか!」
アール「変わるさ・・・現に俺の世界は変わった・・・こんなにもな。
    仲間に触れて、こんなに良かったと感じるとは思わなかった。
    毎日バカやって笑って、本当に楽しい日々だった。
    お前のように孤独を知る俺だから分かる。
    仲間は・・・世界を変える!」
スイカ・ツェッペリン「弱者を忌み、蔑む者は世界の何処にでもいる。
           そんな者達まで、変えられると思うか!
           強者のお前には分からんだろう!世界に弱者がいることを!
           私と違い、最初から強者だったお前には!」
その言葉を聞いた瞬間、アールの目の色が変わる。
普段の温厚な彼からは考えられない、初めて見せる目だった。
その目は黒く淀み、何も映していないかのような空虚な目だった。
アール「・・・俺が、最初から強者だっただと・・・?そうか。
    ならば教えてやる・・・俺がどのようにして力を得たのかを。」
いつになく静かな口調で語るアールが次に口にする言葉を聞いた時、その場の誰もが驚愕の表情を見せることになる。
アール「俺は、その昔・・・孤児だった。」
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