君に捧げる遙かな愛
□邂逅
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ホーブルグ要塞。
そこの廊下を歩く一人のシスターと軍人。
「申し訳ありません。手の空いている司教がおりませんで…」
「いやいや。貴女のような綺麗なシスターがいらっしゃって下さり、光栄ですよ」
歩きながら軽く頭を下げるシスターに、軍人は少し下品な笑みを浮かべる。
シスターの名はシェナ。
バルスブルグ教会から、亡くなった軍人達の弔いの為にやって来ていた。
本人も言った通り、暇な司教がおらず、シェナが派遣されたのだ。
「さすがは帝国軍です。手入れの行き届き方が違いますね」
装飾品を見ながら多少の皮肉を込めてシェナが言えば、軍人はそれに気付かず笑う。
何やら説明を始めた軍人に、シェナは小さなため息を吐いた。
(少将とか言っていたから、人としても少々ね)
オヤジギャグの様な事を考えながらも、微笑みは忘れない。
そんな二人の前から、ある一団が歩いてきた。
「こんな所にシスターなんて珍しいねー」
そのうちの一人がシェナにそう言った。
長身を屈めて、シェナの顔を覗き込むようにする。
「貴様、失礼な真似をするな」
シェナの隣にいた少将が不機嫌そうな声で言う。
だがシェナは気にする事無く、その一団に微笑みかける。