黄昏色の籠囲い
□第五話
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「言ったそばからこれか」
「う…」
苦しそうな表情でセレイアは唸る。
ルカはそんなもの一蹴してセレイアをベッドに押し戻した。
「まだ体調は戻らないようだな」
「…少しね」
僅かに言い澱みながらセレイアは苦笑する。
天使特有の回復力で傷は直っているが、彼女は未だに長時間起きている事が出来ない。
「やはり妖気の影響…」
「どうなんだろうね」
「自分の事だろう。もう少し真剣に考えたらどうだ」
興味無さそうにするセレイアにルカはため息を吐く。
「だって妖樹の事何も知らないんだから」
「それはそうだが…」
セレイアの考えにルカはどう反論すべきか悩む。
そして先程の六聖獣での話を思い出した。
「実は妖樹の事について皆で調べる事になった」
「そうなの?」
「ああ、ユダの提案でな」
それを聞いてユダらしいとセレイアは思う。
恐らくその提案を出した中には、暗い顔をしていたルカを想うものも含まれていたのだろうとも。
「ルカはいかないの?」
「今から行く。その前にセレイアの様子を見に来たんだ」
「ありがとう。私なら大丈夫って伝えておいて」
元気に振る舞いながらセレイアは言う。
軽く頷いてルカは仲間達の所に向かった。