黄昏色の籠囲い

□第五話
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「ぐっ…ごほっ」


ルカが出て行った後、セレイアは堪え切れなくなった様に咳をする。
荒い呼吸と連動して激しい咳が出る。


「はあっ…これだから力を使いたくないのよ」


未だに彼女の体調が悪い理由、それはあの妖樹に対しての攻撃が原因だった。
普段使わぬ力の反動が、体調を崩すという形で現れた。


「情けない…」


天井を仰ぎながらセレイアは自らに呆れた様な口調で呟いた。
深く息を吐いて、セレイアは思いきりをつけ起き上がる。


「ルカに怒られそう」


微かに苦笑しながらセレイアは寝巻を脱ぐ。
そして普段着にしている服に袖を通す。

ふと、彼女はそれを止めて鏡台に置いてあったペンダントを手に取った。


「こんな能力欲しくなかった…」


小さな呟きと共にペンダントを握り締める。
それは幼かったセレイアがゼウスから貰った枷のようなものだった。

改めてペンダントを見つめてから、セレイアはそれを首に下げる。



それから数日後、六聖獣とセレイアに魔物退治の命が下された。


「私も一緒なんてゼウス様どうしたんだろ?」

「どうせまたセレイアも行くと言い出すと思ったんだろう」


ルカの見解にセレイアはとりあえずの納得をする。
そして七人はロバルディ帝国へと降臨した。



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