弐
□第四十三節
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翌晩、その後賛同した僅かな隊士達と共に白河城に向かうこととなった。
「瑠依大丈夫か」
「はい、発作もありません。先を急ぎましょう」
「無理は禁物ですからね」
「ええ、承知してます」
隊士の方にも釘をさされ苦笑する。
女ながらに同行している私を当たり前に受け入れてくれる事に感謝しかない。
しばらくして白河城に着くが、妙な違和感がある。
まるで人の気配が感じられない。
「一体どういう事でしょうか」
「分からない…」
そんな中で茂みの揺れる音がして、斎藤さんが刀を振るう。
それを止めた人物に驚きが隠せない。
「新八さん?!」
「久しぶりだな瑠依ちゃん!」
「何故あんたがここに…」
「ああ、俺から説明するよ」
そう言って現れたのは左之さんだった。
驚く私達をよそに左之さんは簡潔に説明してくれた。
「つまり会津を助ける為に来たら新型の羅刹隊が白河城に入っていくのが見えた、ということか」
「ああ。もうあそこは羅刹の巣になって…」
そんな会話の最中足音がして羅刹が現れた。
三人の刀で倒し終わった中で、倒れた一人の羅刹から声が漏れた。
「助け…会津、が…」
「まだ生きてたか」
「待って下さい!」
止めをさそうとする新八さんを制して脇差しで自分の腕を傷つける。
流れ出た血を与えれば羅刹の呼吸が元に戻った。