弐
□第四十五節
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斗南に移り住んで2ヶ月。
この土地にも少しずつ慣れ始めた。
「おかえりなさい、一さん」
「ああ、ただいま」
こんなやりとりも今ではすっかり当たり前になったが、それでも毎日彼が無事に帰ってきてくれるのは嬉しく思う。
「瑠依、今日は客人がいる」
「え?お客様ですか…?」
「ああ。きっと瑠依も喜ぶ」
笑顔を浮かべてそう言う一さんの後ろから現れた人に驚きを隠せない。
思わず玄関から飛び出した。
「土方さん!左之さん!」
「久しぶりだな」
「元気にしてたか?」
最後に別れた時と変わらない二人の笑顔に涙が溢れそうになる。
そんな私の肩を一さんが優しく叩く。
「立ち話ではなく中へ入ろう」
「あ、はい!こちらへどうぞ」
「悪いな、少し邪魔する」
慌てて二人を案内する私に一さんが苦笑を浮かべる。
少し恥ずかしくて一さんに視線を向けると、彼はばつが悪そうに顔を背けた。
「久しぶりに会って早々に見せつけてくれるな」
「べ、別にそういう訳ではない」
「そう照れる事でもねぇだろ」
「副長まで…」
「もう副長じゃねえよ」
土方さんの言葉に一さんは困った顔になってしまう。
その様子に左之さんと笑いながら家の中へと入った。