弐
□第四十九節
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「んっ…」
ここ最近長く続く体の不調に、少しだけ顔をしかめる。
昔あったような熱の続く日々のようの感覚だ。
「瑠依大丈夫か?あまり顔色が良くない」
「少し熱っぽいようで…」
「最近食欲もないだろう。一度医者にかかったほうがいいのではないか」
とても心配そうに一さんが言う。
あの頃と違って毎日満たされているから、あまり心労からくるものとは考えたくはない。
「そうですね。近いうちに行って参ります」
「ああ」
安心した笑顔を浮かべる一さんを見ると私も少し安心する。
「そうなると暫くは無理をさせられないな」
「普段の事は辛くはありませんよ?」
「いや、夜の事のほうだ」
少し妖艶な瞳を見せながら言われて言葉を失う。
こう素直に言うようになったのは良い事なのだろうか。
「もう…本当に禁欲させますよ?」
「それは…やはり困る」
「冗談ですよ。そんな真剣に悲しまないで下さい」
しょげた顔をする一さんを見て可愛いと思うのだから、私も大概性格が悪いらしい。
でも自分の感情に素直な一さんが可愛いのだから仕方ない。
「とりあえずきちんと医者にかかって安心させて欲しい」
「はい。一さんとの夜がかかってますもんね」
「ああ」
そんな下らないやり取りにも笑みが止まらないのだから、昔とは違うと嫌な考えを振り払った。