黄昏色の籠囲い
□第二話
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懐かしき面影は、何を呼び起こすのだろう…
―小さな感傷を呼ぶ夢―
「セレイア、どこに行くんですか?」
天空城のテラスでお茶をしていた六聖獣の横を、足早に通り過ぎようとしたセレイアにレイが声を掛けた。
「ちょっと、ね…パンドラに呼ばれて」
微笑みながらセレイアは返事をする。
が、その表情には微かな険しさがある。
「私も一緒に行こう」
それを目敏く見分けたルカが腰を上げる。
「大丈夫だって!ルカは心配症なんだから」
「だが…」
「はい、座るー」
セレイアは肩を押してルカを椅子に座らせる。
不満そうな表情のルカをユダに任せて、自身は神殿へと向かった。
神殿に着けばパンドラが恭しくセレイアを出迎えた。
「ゼウス様がお待ちですよ」
「わざわざ連絡をありがとう」
「いえ」
綺麗な微笑みを携えて、パンドラはセレイアの手を取り玉座の間に向かった。
厳かに扉を開き、パンドラは頭を下げる。
「ゼウス様。セレイアをお連れ致しました」
「分かった。お前は下がれ」
ゼウスの指示にパンドラはもう一度頭を下げて、セレイアを残し扉を閉めた。
セレイアはその間一つも言葉を発さず、静かな瞳でゼウスを見ていた。