黄昏色の籠囲い

□第二話
1ページ/5ページ


懐かしき面影は、何を呼び起こすのだろう…



小さな感傷を呼ぶ夢



「セレイア、どこに行くんですか?」


天空城のテラスでお茶をしていた六聖獣の横を、足早に通り過ぎようとしたセレイアにレイが声を掛けた。


「ちょっと、ね…パンドラに呼ばれて」


微笑みながらセレイアは返事をする。
が、その表情には微かな険しさがある。


「私も一緒に行こう」


それを目敏く見分けたルカが腰を上げる。


「大丈夫だって!ルカは心配症なんだから」

「だが…」

「はい、座るー」


セレイアは肩を押してルカを椅子に座らせる。
不満そうな表情のルカをユダに任せて、自身は神殿へと向かった。

神殿に着けばパンドラが恭しくセレイアを出迎えた。


「ゼウス様がお待ちですよ」

「わざわざ連絡をありがとう」

「いえ」


綺麗な微笑みを携えて、パンドラはセレイアの手を取り玉座の間に向かった。

厳かに扉を開き、パンドラは頭を下げる。


「ゼウス様。セレイアをお連れ致しました」

「分かった。お前は下がれ」


ゼウスの指示にパンドラはもう一度頭を下げて、セレイアを残し扉を閉めた。

セレイアはその間一つも言葉を発さず、静かな瞳でゼウスを見ていた。
 
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ