黄昏色の籠囲い
□第三話
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全てが狂ったのは、あの日あの時から
―反旗の追憶―
テラスでお茶を飲むセレイアとルシファー。
降り注ぐ日の光が二人を優しく包んでいた。
「セレイア」
不意にルシファーがセレイアの名を呼んだ。
「どうしたの?」
凜としたその声音にセレイアは不思議そうに首を傾げた。
「お前も随分大きくなったな」
「はあ…?」
あまりにも唐突過ぎるその発言にセレイアは訝しげな表情になる。
「いや、ただそう思っただけだ」
気付けばセレイアは幼年天使から成年天使になっていた。
ルシファーの隣に立っても引けを取らない美しい天使へと。
「急にそんな事言うなんて疲れてるの?」
「そんな事は無い。改めて考えると、そんなに長い月日が経っていたんだな」
「やっぱり変だ」
お茶を一口飲みセレイアは本当に心配そうに言う。
それに対してルシファーは黙って微笑んでいるだけだった。
その穏やか過ぎる微笑みに、セレイアは微かな不安を抱いた。