君に捧げる遙かな愛

□邂逅
1ページ/4ページ


ホーブルグ要塞。
そこの廊下を歩く一人のシスターと軍人。


「申し訳ありません。手の空いている司教がおりませんで…」

「いやいや。貴女のような綺麗なシスターがいらっしゃって下さり、光栄ですよ」


歩きながら軽く頭を下げるシスターに、軍人は少し下品な笑みを浮かべる。

シスターの名はシェナ。
バルスブルグ教会から、亡くなった軍人達の弔いの為にやって来ていた。
本人も言った通り、暇な司教がおらず、シェナが派遣されたのだ。


「さすがは帝国軍です。手入れの行き届き方が違いますね」


装飾品を見ながら多少の皮肉を込めてシェナが言えば、軍人はそれに気付かず笑う。

何やら説明を始めた軍人に、シェナは小さなため息を吐いた。


(少将とか言っていたから、人としても少々ね)


オヤジギャグの様な事を考えながらも、微笑みは忘れない。
そんな二人の前から、ある一団が歩いてきた。


「こんな所にシスターなんて珍しいねー」


そのうちの一人がシェナにそう言った。
長身を屈めて、シェナの顔を覗き込むようにする。


「貴様、失礼な真似をするな」


シェナの隣にいた少将が不機嫌そうな声で言う。
だがシェナは気にする事無く、その一団に微笑みかける。
 
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ