黄昏色の籠囲い
□第一話
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ルシファーにとってセレイアがどんな存在か知り尽くしているからこそ、ゼウスはセレイアにルシファーを連れて来るように頼んだのだろう。
「ところでセレイア。その手の袋は?」
尋ねられたセレイアは肩を跳ねさせながら手を背中に回す。
「えっと…ね」
「ゼウス様に頂いたんだろ。私を連れて来る使い賃として」
「うん!」
満面の笑みのセレイアが袋の中を見せる。
そこには色とりどりのマシュマロが入っていた。
「下界のお菓子なんだって。綺麗だよねー」
一つを口に含んでその食感を楽しむ。
口の中のマシュマロと同様に、セレイアの表情もとろけている。
「甘いのは私だけではないじゃないですか…」
呟くルシファーの言葉は恐らく大神に向けられたもの。
大方、セレイアに甘いとでも言われたのだろう。
「ん?ルシファーって甘いの?」
意味を理解しきっていないセレイアが不思議そうに尋ねる。
「気にしなくていい。ゼウス様の所に行くぞ」
軽くため息を吐きながら、ルシファーはセレイアを抱き上げた。
納得のいかない顔をしながらも、セレイアはルシファーの首に腕を回す。