黄昏色の籠囲い
□第二話
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「セレイア、ここへ…」
手を差し伸べてゼウスは言う。
その表情は他の天使が見た事が無い程に穏やかだった。
「一体何の用で呼び立てられたの?」
ゼウスの前に歩んでいきセレイアは問う。
「ああ…実は六聖獣について聞こうと思ってな」
「六聖獣の事?」
セレイアは眉間に皺を寄せて繰り返す。
暫しの沈黙の後、セレイアはゆっくり口を開く。
「別に変わった様子なんて無いわよ。…何を考えているか知らないけど、私は彼らを売りはしないけど?」
「分かっている」
険しい顔のセレイアを宥めるようにゼウスは優しく言う。
そしてそっと彼女の髪に触れた。
「最近は神殿にも来ず寂しいな」
「皆と色々やってるからね」
神殿に来て初めてセレイアは笑みを零した。
皆とは、六聖獣達を指すのだろう。
「本当にセレイアはいつも楽しそうに毎日を過ごしているな」
「まあね」
幼い頃を知っているゼウスに言われ、セレイアは苦笑した。
そして玉座に座ってニコリと笑う。