黄昏色の籠囲い
□第四話
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「な、何だ?!」
「避けて!」
動揺する天使達の中に、セレイアの鋭い声が走る。
次の瞬間には地面から大量の触手が伸びてきた。
何とか全員が避けるなり、逃げるなりしたが、触手は諦める事無くシンに迫った。
「シン!」
セレイアとユダの叫び声が重なる。
そして触手がシンに絡むよりも早く、セレイアがシンの体を突き飛ばす様に退けた。
「っ!」
タイミング悪く、その触手がセレイアの肩に深々と刺さった。
そしてそのまま放物線を描きながらセレイアの体が宙に舞う。
「セレイア!」
その体をルカが空に飛び上がって受け止めた。
「ル、カ…」
「喋るな!」
厳しく言い放ってルカは地に降りる。
ゆっくりと腕と服を濡らしていく血に、ルカは苛立ちを込めて息を漏らした。
「シン!」
他の者の声にルカがセレイアの傷から顔を上げると、妖樹に張り付けられる様にしているシンがいた。
「私は気にせず、退治して下さい…っ」
本人に言われても、誰も仲間に技を当てる事など出来ない。
素肌を這っていく触手にシンは苦悶の表情を浮かべる。
「どうすれば…!」
予想外の妖樹の知恵にユダは舌打ちをする。
だがそれで打開策が出る訳でもない。