君に捧げる遙かな愛

□理由
2ページ/6ページ


「アヤナミ様!」


コナツ君の表情が締まって、眼帯の子も私から離れた。


「アヤナミ参謀長官ですか。ならここはホーブルグ要塞か何かかしら」


自分の事のはずなのに、ひどく冷静に言葉が出てくる。


「ここはリビドザイルの中ですよ」


アヤナミ参謀長官の後ろに立つ、柔和な男性が教えてくれた。
リビドザイルと言えば、帝国軍第一級空艇じゃないか。


「こんなレベルのが来るなんて、帝国軍は随分とテイト君にご執心ですね」

「シェナちゃん、理由知ってるでしょ?」

「さあ…」


ヒュウガさんに聞かれ曖昧に笑っておくが、理由は分かっている。
テイト君の持つ『ミカエルの瞳』が目的だ。


「私を餌にテイト君を取り返すつもりですか?」


軽蔑の意を込めた視線を送る。

そもそも私のような一介のシスターの為に、教会がミカエルの瞳を渡すとは思えない。
あの三人がそれを許すはずがない。


「え?!アヤたん、シェナちゃんそんな事に使うなんて許さないよ!」


私の発言にヒュウガさんが慌てる。


「何を言っている。テイト=クラインは連中にやると言った」


アヤナミさんはキッパリとそう言った。
そしてベッドに座ったままの私の腕を引いて、自分の方へと立ち上がらせた。
 
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ