君に捧げる遙かな愛
□理由
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「アヤナミ様!」
コナツ君の表情が締まって、眼帯の子も私から離れた。
「アヤナミ参謀長官ですか。ならここはホーブルグ要塞か何かかしら」
自分の事のはずなのに、ひどく冷静に言葉が出てくる。
「ここはリビドザイルの中ですよ」
アヤナミ参謀長官の後ろに立つ、柔和な男性が教えてくれた。
リビドザイルと言えば、帝国軍第一級空艇じゃないか。
「こんなレベルのが来るなんて、帝国軍は随分とテイト君にご執心ですね」
「シェナちゃん、理由知ってるでしょ?」
「さあ…」
ヒュウガさんに聞かれ曖昧に笑っておくが、理由は分かっている。
テイト君の持つ『ミカエルの瞳』が目的だ。
「私を餌にテイト君を取り返すつもりですか?」
軽蔑の意を込めた視線を送る。
そもそも私のような一介のシスターの為に、教会がミカエルの瞳を渡すとは思えない。
あの三人がそれを許すはずがない。
「え?!アヤたん、シェナちゃんそんな事に使うなんて許さないよ!」
私の発言にヒュウガさんが慌てる。
「何を言っている。テイト=クラインは連中にやると言った」
アヤナミさんはキッパリとそう言った。
そしてベッドに座ったままの私の腕を引いて、自分の方へと立ち上がらせた。