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ここは聖地にある、森の湖。
 誰もいない静かな午後。静寂を破る滝の水音だけが響いていた。
 そこへ、周りを気にしながら一人の少女がやって来た。
 辺りに人がいないのを確かめると、滝の目の前まで来て熱心に祈りを捧げる。

(どうか。どうか、あの方に逢えますように―――)

 すると、それからわずかも経たないうちに生い茂った草が動き、人の足音がした。
 少女はびっくりして振り向く。と、同時に足がすべり、踏み外してしまった。
「きゃっ!」
 そのまま滝壺へと落ちていく。
「アンジェリーク!?」
 湖はそれほど深くはなかったが、踏み外す際に足をくじいてしまったのか、彼女はなかなか浮き上がってこれない。もがけばもがくほど、どんどん流されていく。
「アンジェ!!」
 足音の主は彼女の名を叫ぶと、慌てて服を脱ぎ捨て、湖へ飛び込んだ。

(………ランディさま)
 薄れゆく意識の中、少女は愛しい彼の声を聞いたような気がした―――。
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