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□残酷なひと。
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飲んでいるかと言われて飲んでまさぁ、と投げやりな返事を返す。

今日はひどく上機嫌なの人の後ろにはすでに潰されてしまった土方さんが見えた。
近藤さんもザルじゃないというのに、よほど嬉しいことがあったのだろう。顔を真っ赤にしてビール瓶を傾けている。そんな継ぎ方したら泡ばっかりになるってのに。

+++残酷なひと。+++

天人が来てからというもの、町は急に明るくなったという。

ネオンサインがちらちらと蛍光色の明かりを路地に投げかけている。天井から電球も下がって今では室内がスイッチひとつで明るくなる。けれど真選組の屯所はあまり新しいともいえない和風邸宅なので、未だに使っているのは行灯だ。

蛍光灯も取り付けらているが、あまり使っていないのは、局長である近藤さんがこのほの暗い雰囲気を好んでいるからだろう。

宵闇の中にふわりと浮かぶおぼろげな光は部屋の四隅までは届かない。
宵闇はゆっくり追いやられて、四隅にわだかまり、行灯の明かりが揺れるのにつれ時に手を伸ばし、引っ込めを繰り返している。ちらちらとゆれる明かりに人影も揺れる。近藤さんの後ろ側にできた影は伸びたり縮んだりをくりかえしている。俺の影もそうなのだろう。

一人先に潰れてしまった土方さんの肩が荒く上下している。どれだけ飲ませたのやら。弱いくせに近藤さんの杯は断れないのだから、明日あたり二日酔いで八つ当たりされる山崎は大変な目に合うのだろう。
その山崎もとっくの昔につぶれていて、土方さんのさらに向こう側で屍になっていた。

宴会が始まってからずいぶん時間が経っている。
起きている隊士もまばらだ。そんな中でも異様なほどのハイテンションを維持している近藤さんに何があったのか聞けば、出てきたのはやっぱりストーキングを続けている女の名前だった。
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