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□退化症状
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サードインプレッション。フォースインプレッション。

いつの間にこんなにも近くに来たのだろう。

五回目、六回目、七回目。

塗り重ねられていたはずの悪印象はどうやって昇華されていったのだろう。自分のことだというのに分からない。

思うこと、感じるもの、全部制御できたら世界はさぞかしや明瞭で、シンプルで、分かりやすい形に収まってくれるのだろうけれど、それでもいくつものイレギュラー、判別できぬもの、意に従わぬもの、そういうものがあるからこそ世界は常に鮮やかなのだろう。


美しい世界。


それを境界から斜に構えて眺めていたはずの自分は、拒絶したはずのものまで抱えて今酷く穏やかだ。
総て放り投げているようで、けれど要らないと思うものまで丁寧に拾い上げる男が色々なものを血まみれのこの手に手渡すから、自分も貰ったものすべて捨てることができずに後生大事に。

抱え込んでそろそろ溢れてしまいそうになっている。

目を走らせると変わらない無機質な部屋がある。潔癖のケがあるせいだろう。チリひとつ落ちていない家は何一つ変わらないようで居て、今視界に移らない部分がほころんでいる。

冷蔵庫の中、増えた酒の量だとか。
その奥にいつからかストックするようになったチョコレート菓子だとか。

土方にしてみれば生々しすぎてイヤなのだが、洗面台に用意された歯ブラシだとか。

……見えるものでないなら、触れてくる手に反撃しなくなった無様な反射神経だとか。

侵食されている。そう思う。そろそろ溢れそうだ。元々そんなに大きくない手のひらに、捨てられないものばかりがいっぱいになって。

鮮やか過ぎる記憶の代表も捨てられないから、後生大事に箪笥の一番下に仕舞っている。思い出すたびに馬鹿みたいに正座までして神妙に見直している。届かなかった自分の力量だとか。歯がゆいような思いもあるけれど、それに同居する感情が確かにあるのだ。

網膜を焼いたあの美しいぎんいろ。

「あのときにもう俺、多串君に惚れてたんだよね」

それでもそのぎんいろが、至極当たり前のような顔をしてそういうものだから。

退化症状をますます自覚して、患者は多串じゃねぇと呟いて俯くことしかできないのである。


END


……ありえないほどラブいです。こんなので一万ヒットなんて全然御礼になってませんごめんなさい(汗)相思相愛ぺたりくっついた銀土です。このまま進化したら私はそのうちハーレクインまでいってしまうかもしれません(汗)ありえないよ、砂糖はいちゃうよ。現在進行中の話が総じてブラックなものですから、反動が来たのかもしれません。銀さん、高杉でも大丈夫っぽい…でも高杉はひじの刀折ってないし…!!じつはこれも拍手用にネタひねりだしたものです。軽いSSでなんてもの書こうとしていたんでしょう。お題は「漢字一文字で銀魂三十のお題」、「銀題」さまかせお借りしました。リンクはトップにございます。お題は「再」、でした。だから銀さんとの再会しか思いつかなかったんです…。

因みに歯ブラシは笑うところです(汗)
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