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□第五十訓
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だってそんなこと、ありえないでしょう。

本当に、何だよこの展開。何で車に撥ねられて頭部強打したくらいで記憶喪失なんてなっちゃってるんですか。
しぶとく生きててくれたのは嬉しいけれど複雑だよ。銀さんの記憶には本当に、僕たちは醤油の染みくらいにはこびりついているつもりだったのに。
今は醤油の染みも取れる洗剤があるって?じゃあ銀さんはそれに漬け込まれて三回くらいすすがれたんですか……って、そんなはずがない。

勘弁してよ、本当に。
何言い出すんですか。
アレですか、万事屋解散って給料払わないための口実ですか。苦肉の策ですか。
そりゃあ切羽詰ってるけど、それってありですか。口だけ殊勝なこと言わないでくださいよ。姉上だったら迷わず謝るなら金寄越せって言いますよ。同情するなら金をくれ。同情は多分してない?そうですか。

本当に、どうしちゃったんですか?
僕今までに本当って何回言ったんでしょう。本当に、信じたくないんです。あ、また本当って言っちゃった。
まだ一緒に居て一年だけど、でも時間より何倍も濃い時間を共有していたって信じていたんです。

そりゃ、普段はだらだらしているけど、決めるときは決める人だしいろんな事件に巻き込まれてきたし、そのどれもぶち破ってきたし―――

解散なんて言い出した銀さんを宥めすかして最後は定春にちょっと噛み付いてもらって廃墟と化した万事屋に戻ってきました。
どうしてほぼ毎日定春に噛まれて出血しているっていうのに、車ごときで、頭強打ごときで記憶飛ばすかな!!
相当無茶苦茶なこと言っているって分かってますが、それを押しのけるくらい無茶苦茶な毎日送ってきたっていうのに。



……悪いことは重なるもので。

いや、これは必然なんでしょうが。

普段は呆れた格好を取りつつも、全員で歓迎する人が。

「銀髪、車に撥ねられたたァ本当か…ッ!!」

土方さんが、やってきてしまいました。
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