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□明るい家族計画
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「台所、借りるぞ」

スーパーの袋片手に上がりこんできた多串君は、俺の顔を見るなりそう言った。

ああ、うん。なんていつものごとく藤椅子にもたれかかって惰眠をむさぼっていた俺がそう曖昧な返事をする間に勝手知ったる他人の家、とばかりにさっさと台所に消えていく。

わざわざ来てくれたのは嬉しいのだけれど、あの荷物は何なのだろう。



+++明るい家族計画+++



欠伸かみ殺し軽く伸びをしてその黒い背中に続く。

今日も世間は平和で、だから真選組も万事屋も閑古鳥だった。きっとその方がいいのだろうけれど、閑古鳥に鳴かれた方は困っている。元々蓄えなんて無いものだから。

けれど多串君が尋ねてきてくれるから、少しくらいは閑古鳥に感謝してもいいのかもしれない。
普段の真選組は局地的にどうしようもないほどの忙しさで、そして多串君はその忙しさの中心に座しているのだ。
だから会うためには、こちらから屯所に突撃して飛んでくるバズーカの弾頭だとか真剣だとかをかいくぐらなければならない。

本人は嫌われていると思っているようだが、中々ありえないほど君は愛されてるよ、多串君…。

沖田のバズーカだけでなく名前も知らない隊士たちに罠を仕掛けられたりして毎回命がけのサバイバルゲームだ。
副長の執務室に辿り着ければこちらの勝ち。
とりあえず今のところ全勝中。負けたら問答無用で三途の川を渡る羽目になるのだから負けるわけにはいかない。
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