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□明るい家族計画
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反対に寂しいことだけれど多串君が万事屋に顔を出すことは少ない。

俺とは一応それなりな関係なはずなのだけれど、忙しいのだから仕方が無い。たまにテロも警備も無くなおかつ多串君の睡眠が足りていれば顔を出すこともあるけれど、万事屋に居るのは自分だけじゃないから仕方が無い。屯所に居るのだって多串君だけではないけれど。
だからゆっくりしたいときは自宅に行くことにする。その前に大体自分が痺れを切らすのだけれど。

「多串君、どーしたの?」

ひょこ、と顔を出した台所で、ちょっとな、なんて適当な返事を返しながら咥え煙草のままビニール袋からごそごそと何かを取り出している。

「調味料は有るんだろう?」
「あ、あぁ、まぁそれくらいは…」
「米は?」
「一応少しくらいなら残ってる…と思う」
「買ってきて正解だった」

米びつを覗いて溜息をつかれる。スーパーの袋の中には思ったよりも沢山の食材が詰め込まれているらしかった。
新八はともかく神楽と定春は手加減というものを知らないから、いつも食材の類はあっという間になくなってしまう。
現在は正に危機的な状況で、その状況を作り出したはずの一人と一匹はあっさりとここを見限って新八の道場にあがりこんでいるのだから泣けてくる。

だから自分は不貞寝をしていたわけだが、あぁ残っていてよかった、と今日ばかりは自分の気まぐれに感謝した。一緒に行っていたら多串君とすれ違いになるところだった。

「差し入れ?」

ぱたぱたと尻尾を振りそうな勢いで近寄った俺に、多串君はにこりと笑った。
ぴた、と反射敵に抱きつこうした格好のまま硬直する。
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