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□義弟の心得
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沖田の日常は睡眠と土方苛めで出来ている。

残念ながらその内訳に仕事という文字が入ることは無い。
沖田の脳内辞書で仕事という文字は切り抜かれても不可能という文字と一緒にどこか遠いところに投げ捨てられてしまった。

そう、彼に不可能は無い。

少なくとも土方に関することで沖田に不可能は無いと隊士は皆思っている。
土方を苛める(本人は愛情表現だといって憚らないが)ためなら相対性理論だってぶち破る男―――それが沖田総悟なのだ。


その土方に最近近づく悪い虫が居る。


名前は坂田銀時という。
沖田は旦那、もしくは万事屋の旦那と呼んでいる。

志村妙とかいう女を巡って局長と対決した上に土方とも派手にやりあったテロリスト(後に無実と判明したが)のくせに、何故か女のことも因縁のことも放り出して土方にアプローチを繰り返して、真選組隊士たちの憎悪を一身に受ける男である。

おまけに土方が満更でも無さそうなのがいけない。本人は憮然とした顔をしているつもりらしいが、時々鉄壁が剥がれ落ちて随分穏やかな目をしていることを沖田は知っている。
局長馬鹿の上、負けず嫌いの土方が近藤に暴行を加えた上一度負けた相手にそうそう簡単に気を許すとは思っていなかっただけに、目論見違いが出てきた現状は沖田にとって非常に苦々しい状態となっていた。

何か薬物でも使ったのではないか―――馬鹿馬鹿しいがそんな想像したことまであった。

だってあんなに普段からガードが固い土方が、何故近藤を傷つけた相手に小さくとはいえ笑顔を向けている。
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