隠れ家

□Doll Pray 5 ヒヨコの憂鬱
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巨大な船が空から降りてくる光景は、何度見てもね圧巻だと思う。
船が空を飛ぶということだけでも物凄いのに、それがまるで魚の腹のようにつるりとした大きな船底を晒して徐々に高度を下げてくるのだ。
押し潰されてしまうのではないか、といつもそのずんぐりとした重々しい船体を見るたびに土方は思う。いくつもの船影があちこち群れを成して舞い降りるその姿はまるで、頭上を行き過ぎる魚群を海底から見上げているような、そんな気分になる。
ぽかんと口を開けて眺めていたら、周りで作業をしている男たちに、埃が入るぞと笑われた。
そんなことを言ったって、こんな技術をいまやこの星の人間が手に入れているだなんて始めて見たときは信じられなかったし、それを何故周囲の人間が普通に受け止めていられるのかヒヨコは全く信じられないのだ。

横付けにされた船の間に渡された板の、その向こう岸に土方を見つけると、マリモのような黒い頭をした男は躊躇もせずにその細い板を走り抜けて駆け寄った。

「土方―!元気にしとったかや!!」

がばりと逃げるまもなく抱き付かれれば、硬直もするけれどこれがこの男のスキンとシップのやり方だと分かっていれば、そう恐くもない。
坂本は何から何まで、行動が子供のようにストレートでそしてオーバーなのだということを、一度目で覚えてしまえば大人しくしていることにする土方だ。
邪険にしたらますます引っ付かれるのは目に見えている。何しろ坂本ときたら、自分だけでなく高杉にも同じ調子でひっついているので、邪険にされた坂本がどんなにか闘志を燃やすかはよく分かっているのだった。
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