+++アンニュイ+++

□勝手知ったる。
1ページ/5ページ

人と一緒にいるのは嫌いではない。

あまり好きでもないが。ただそれは、気心の知れた相手だけだと思う。

眼前で繰り広げられている光景に溜息をついて土方は冷蔵庫のドアを閉めた。今日一日でストックしておいた酒が全て消費されるだろう。
畜生。



+++勝手知ったる。+++



人が多いのでいつものダイニングテーブルではなくリビングで食事を摂っている。

目の前に左目包帯男。
いつものようにふらりと来ていた。鍵は有ってないようなものなので渡していないがよく来る。大抵縁側から不法侵入を果たしてソファでくつろいでいるから始末に悪い。
逮捕してやろうかと前に脅したら家主が許可出してるから不法じゃないとしれっとした顔で言い放った。許可は出した覚えが無かったので、もしかしてこいつは自分が既に家主のつもりなのかもしれない。

左側に長髪の男。
こいつも包帯男程ではないがよく来ることは来る。大抵なんらかの手土産を持ってくるから律儀だ。だがそのせいで蹴りだそうにも蹴りだせないのが困る。逃亡生活を送っているはずだというのに、そんな金がどこから出てくるのだろう。

落ち着いていそうで常識も十分に見えるのだが外見だけだと知り合って直ぐに思い知った。大体包帯男たちの知り合いである時点で常識人ではありえないのだ。


右側に銀髪の男。

さんざ仕事を邪魔したり時に解決したり一体何がしたいのか良く分からないが、こいつもたまに来る。というか尾けられて家を探し出された。上手く巻いていたはずなのに。朝のゴミだしはちゃんとしているから、近所の主婦連中から漏れたのかもしれない。
今日は屯所の帰りに道で待ち伏せされていてそのまま一緒に帰ってきた。他の二人に比べれば家に来た回数は少ないが、知られた以上これから毎日でも来そうで少しげんなりする。どうせたかられるだけだろうし。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ