+++アンニュイ+++

□罰ゲーム
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気分次第で銀時は土方の家を訪れる。

思い立ったら、というやつだ。その思い立つ機会の多さは感情の大きさゆえ、というものなのだろう。バイトがたてこんでいない限り二日と空けずにこの古びた家に顔を出すのは、土方の仕事場である屯所のガードが固いからだ。

鬼副長と呼ばれつつも、土方は隊士たちから過剰なほどの愛情を注がれている。本人は全く気が付いていないけれど。副長に近づく悪い虫は排除せよという一致した目標の下、銀時には容赦ない攻撃が加えられるのだ。特に沖田あたりから。

突貫できないこともないが、それで屯所に被害でも出したりしたら、土方に叱られる。というわけで、自然銀時が寄り付くのはこの家になってしまった。


かといって土方は多忙なので、家で待っていても必ずしも本人が戻ってこられるかは分からない。
余程のことが無い限り帰宅するようにしているらしいが、何せ未だ社会情勢は不安定なものだからテロは頻発しているのだ。

「俺も真選組入ろっかなぁ…」
「止めておけ、土方が倒れる」

炬燵に顎を乗せながら呟く銀時にお留守番をしていた桂が蜜柑の皮をむきながら応える。

「嬉しすぎて?」
「神経性胃炎で」
「誰だ俺の多串君にストレスためさせんのは!!」
「お前のことを言っているんだ!神経性胃炎どころか胃潰瘍になるな、お前が入隊なんぞしたら」

呆れたようにいいつつも、蜜柑をむく手を止めない桂は銀時の言動にも的確な突っ込みを入れる。長い付き合いの賜物であろう。
実際銀時が真選組に入隊希望を出したとしても、あらゆる手段を使用されて申込書は土方の目に触れる前に始末されるだろう。
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