+++アンニュイ+++

□今日は何の日
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別にこいつと酒を飲むのは構わない。

自宅にしょっちゅう入り浸ってきているから今更の話だ。人が来ていればメシを作りついでに酒くらいは出す。銀髪相手だとゆっくり雰囲気を楽しみながらなんていう呑み方は出来ないが、雰囲気は外で会うときほど険悪ではない。

「多串君がいつもこれくらい可愛かったらいいのに〜」
「可愛いって何だ、それは。…仕事中にひっついてくるテメェが悪い」

もう真っ赤になっている銀髪の頭に軽く一発いれる。
そういう言葉は女に言うものだ。二十代も半ばを過ぎた男に使うセリフではない。気持ちが悪い。

もし視力に問題があるならば眼鏡をかけるべきだ。それかコンタクトレンズを。真面目に言うと、わかってないんだから〜と肘でつつかれた。こっちは本気で言っているのに失礼な話だ。

多いときは四人もやってくる来客に対して不満はそんなにない。手伝えといえば家事はやるし、なによりあの空気が気に入っている。少し油断すると時々結託してとんでもないことを考える以外は。

おかげでこのごろ買い物のたびに大量の荷物を抱えることになり、近所の主婦連中に不思議がられてはいるけれど。

…桂や高杉に買い物にいかせるわけにはいかないから、今度からこいつに働かせよう。その程度の報酬はメシと酒で出している。大体その買い物も俺の金な訳だし。

後、もし不満があるとすれば。

……これか。

目の前に山と詰まれたポッキー、チョコレートスティック。思わず胸焼けがしそうになる。匂いだけでも甘ったるい。

大体この銀髪は甘いものは週一回に制限されているはずだ。俺の記憶が確かなら、一昨日夕食のデザートに請われて出したのは生クリームたっぷりのプリンだった。
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