+++アンニュイ+++
□さんがつじゅうよっか
1ページ/14ページ
二月のあの悲喜こもごも、最終結果としては皆成功なのだが過程になんがありすぎだったヴァレンタインデーから一ヶ月が経過した。
二月は製菓会社の陰謀だと思ったら、三月はアパレル系まで食い込んできたらしい。
もちろん製菓会社だって引き続き頑張ってはいるが、飴とクッキーで喜ぶのは子供か銀時くらいのものだろう。
因みに銀時はこの場合三倍返しやらに頭を悩ませる側なので関係は無い。土方だって別にわざわざ購入したわけではないから三倍返しなんて要求しないだろうが。
その土方の趣味の無さにも困ったものだ。
もう三十分程度も一ヶ月とは打って変わって男ばかりでごった返す売り場で悩んでいるものの、一向に適当と思われる品が思いつかず、高杉は苛々と眉根を寄せる。
こういう場合は相手の好みに合わせて何か気の利いたものでも贈るのだろうが、土方に趣味らしい趣味は無い。日常生活の中で一番時間を取られているのは間違いなく仕事だが、仕事が趣味という典型的会社人間でもない。ワーカーホリックではあるがそれは半強制的にだ。
万年筆でも贈ればいいかとも考えたが、それでは仕事頑張ってくださいということになるのではないだろうか。
攘夷志士が真選組に。冗談ではない。