+++アンニュイ+++

□来訪サディスティック
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うとうとと心地よいまどろみの中。

どす、と腹部に加えられた圧迫に心臓が撥ねた。



+++来訪サディスティック+++



「ずるいよ多串君、どうして俺も呼んでくれないの!」

急激に覚醒した意識に眩暈がする。
視界が黒から余裕も無く切り替わって気持ち悪い。腹の上に重いものが乗っているからだろう。
う、と小さく呻くと、本気の涙声と共にぐいぐいと頬に柔らかいものが押し付けられる。光量に眼が慣れていないから視界が利かない。それでもちら、とおぼろげな視界に写りこんだ銀色に、反射的に固めた拳が相手の輪郭を捉えると同時に鋭い一撃を繰り出している。

ドス、と鈍い音がして、今度は相手が呻く番だった。

その間にずるずると重い体の下から這い出す。
ついでに暖かい布団ともさようならだ。明け方は冷えるのに!

「てめぇ銀髪…そんなにも俺に斬首されたいか……!」
「ざ、斬首は止めて…いくら俺が丈夫だからって首と胴体が離れたら流石に死んじゃうから……」

反射的に枕元に有った鞘から銀色の刃を抜き出した土方に、布団の上で悶絶しながら銀時が必至で制止しようとする。

「早いな、銀時」
「つーかヅラ!てめぇなんて羨ましいことしてんだ!!俺も混ぜろ!」
「ヅラじゃない桂だ。川の字は三人でしか出来ん」
「親子じゃねぇけどな」
「お前ら起きてたんだったらこいつ止めろよ!」

銀時が入ってくる前に起き出していたのだろうか、布団の端から傍観していた二人を睨んでも効き目は無い。
一人は天然ゆえ。もう一人は自分よりも二枚も三枚も凶悪ゆえ。


「俺も一緒に住む―――!」

そして最後の一人はこういう時だけ体力に溢れかえっているため!
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